【酒蔵訪問】石川酒造(株) は「酒飲みのテーマパーク」だった(前編:蔵見学)(東京都福生市)
こんばんは。日本酒に愛された女です♪
2017年9月、東京都福生市の「石川酒造」さんを訪れましたので、前編と後編の2回に分けて蔵見学の様子を書きます。
こちらは創業文久3年(1863年)から続く清酒「多満自慢」と地ビール「多摩の恵」の醸造元です。
約1時間の蔵見学では社長秘書さんに案内していただきながら、「本蔵見学 ⇒ 酒造りの説明 ⇒ 敷地内の建造物や樹木などの説明(ビール造りの説明も軽く) ⇒ 試飲(3種類)」を楽しみました。
売店「酒世羅(さけせら)」や、後編で書きます併設の「手打蕎麦 雑蔵(ぞうぐら)」さん、酒蔵直送の地ビール「TOYODAビール」もあり、まさにこちらは社長が目指しているという「酒飲みのテーマパーク」だなぁと感じました(^^)
目次
歴史ある美しい建造物
新蔵(しんぐら)
JR青梅線「拝島駅」下車、徒歩20分で石川酒造さんへ到着。
最初に目に飛び込んできたのは、新蔵(しんぐら)。大きくて立派な建物でした。
国登錄有形文化財。酒の熟成に使われている土蔵で、明治30(1897)年の建築。
出典:石川酒造サイト > 石川酒造「見学コース」ご案内
蔵見学
いざ、石川酒造さんの敷地へ♪
蔵見学にかかる時間は約1時間。
私が参加した14:00~の回は合計9名いらっしゃいました。
社長秘書さんに案内していただきながら、「本蔵見学 ⇒ 酒造りの説明 ⇒ 敷地内の建造物や樹木などの説明(ビール造りの説明も軽く) ⇒ 試飲」を楽しみました。
※ 訪れた9月はまだ仕込み前のため、造りを見ることはできませんでした
本蔵(ほんぐら)
白壁と形がとても美しい本蔵です。関東大震災、東日本大震災とも遭いましたが、びくともしなかったという頑丈な造りだそうです。この本蔵を造られた方に敬意を表したくなりました。
国登録有形文化財。「多満自慢」が醸造されている本蔵は、明治13年の建築。約25m×28m の規模をもち、高さは約13m。300坪の瓦が敷き詰められています。石川酒造の発展を見守る大切な建物です。
引用:石川酒造サイト > 土蔵散歩・見学
杉玉
大きな杉玉ですね。酒蔵では今年の新酒ができると「新酒ができましたよ♪」と周りにお知らせするために、真新しい緑色の杉玉を飾りますよね。飲食店でも飾っている所があります。
と思ったら、ワイヤーで球状にしたものに杉を挿していき、最後に丸く形を整えるのだとか!最初は杉自体の水分が多いため70kgくらいあるため、フォークリフトで持ち上げるそうです(^^)
酒造りの説明
では、いよいよ蔵の中へ。蔵の中はとてもひんやり。訪問した日は外気温が28度ありましたが、蔵の中の温度は18度くらいとのこと。日本酒を仕込むにはこれでも気温が高く雑菌などの繁殖を防ぐために、蔵の温度が4度くらいになる冬に仕込むのだそうです(寒造り)。「月桂冠」さんなどのような空調設備を整えている酒蔵は、蔵の温度を調節できるので、年中日本酒を造ることができるそうです(四季醸造)。
酒母(蒸し米、水、麹に酵母を加えたもので、もろみの発酵を促す酵母を大量に培養したもの)は2階の酒母室で造られ、写真右手に少し見えているパイプを通して1階の仕込みタンク(うぐいす色)に注入するそうです。
石川酒造さんには1基だけあるというサーマルタンク。この冷却装置付タンクを使うと仕込みタンク内のもろみ(酒母に麹、蒸し米、水を加えたもの)の発酵温度をコントロールする温度調整が楽になり、蔵人さんの作業が軽減されるそうです。
何回聞いても、読んでもなかなか理解できない酒母造り。このサイトでまた復習しています(^^;
参考サイト)オエノングループ:日本酒ができるまで~「日本酒の製造工程」~
敷地内の建造物や樹木など
敷地内にある建造物や樹木などの説明をしていただきました。
熊川分水
江戸時代、熊川村と呼ばれていたこの一帯の生活用水として玉川上水から分水をひき、当時は水車もあり精米に使われていたそうです。羽村市から四ツ谷まで玉川上水をひいた「玉川兄弟」の話はざっくりと知っていましたが、分水がひかれていることまでは知りませんでした。
明治19(1886)年から明治23 年にかけて、玉川上水から生活用水としてひかれたもの。この工事には、石川家を中心とする熊川村の人々が携わりました。
引用:石川酒造サイト > 土蔵散歩・見学
【補足】
仕込み水
こちらはデモンストレーション用。石川酒造さんの敷地内では全て仕込み水を使用し、上下水道をひいていないそうです。日本酒も、ビールも、レストランも地下150mからポンプで地下水を汲み上げて使用しているそうです☆
大黒天・弁財天
夫婦欅の間に、大黒天と弁財天が祀られていました。大黒天さんはお米の神様、弁財天さんは水の神様なので、酒造りに必要な「お米と水」の神様として祀っているそうです。なるほど!と合点が行きました。
夫婦欅(めおとけやき)
樹齢400年を超えるという美しくそびえ立つ夫婦欅です。右手の木の皮がはがれて新陳代謝が良さそうな方を「女性」としているそうです(笑)
今までいくつか酒蔵を訪問した際に欅の木がある所が結構ありました。「日本酒と欅の間には何か関係があるんじゃないかなぁ?」と、ふと思いました。
文庫蔵と蒸し器と木犀
敷地内で一番古い建物である文庫蔵。しっかりした造りでとても150年前の建物とは思えませんでした。
この金具が気になりました。何かからくりがありそうで、中を見てみたくなりました。
昔は下の釜でお湯を沸かし蒸すというこの蒸し器を使用していたそうです。大掛かりで大変そうですね(^^;
蒸し器の横に以前、秋篠宮様が来訪された折に記念植樹された金木犀(右側)と銀木犀があります。
と、案内してくださった方が嬉しそうにお話しされていてこちらまで笑顔になりました。
長屋門
現在の石川酒造 十八代目「石川彌八郎」さんのお住い。立派な長屋門です。こちらにも杉玉が飾られていますね♪ ちらりと見えるお庭がこれまたとっても美しい!!こんな所に住めたらどんな心地がするのだろう。
御神木
福生市指定天然記念物「石川家のケヤキ」。樹高:22.1m、幹周:4.48m
樹齢700年を超えたとても立派な御神木です。見上げると欅の緑色に覆われていてとても気持ちがいいんですよ~♪ 緑好きにはたまらない絵です☆ 広角レンズじゃないので全体を写真におさめられず。。。
井戸
現在もまだ少し井戸のお水が湧いているそうです。耳を澄ますと「ポチャン、ポチャン♪」と、水琴窟のようなキレイな音が聴こえました♪ 井戸の周りには井戸を囲むようにイスが設置されています。
案内してくださった方によりますと、なんと現社長の十八代目はブルースハーピストのミュージシャンでもあり、時々ここで演奏をするんですって♪ SAXOPHONEで演奏に参加する方もいるとか!社長は石川酒造を「酒飲みのテーマパークにしたい」のだそうです。素敵!!共感します☆ こんな素晴らしいロケーションで美味しいお酒をいただきながら音楽も楽しめたら天国ですよね~(笑)想像しただけでワクワクしますo(^^)o
麦汁釜の館
日本で一番古いビール醸造メーカーはキリン、次にサッポロ、その次に各メーカーがいろいろ出始めたその内の1つ。たった1年で一度はビール醸造を止めましたが、17代目が1998年に再開したそうです。ビールも柑橘系が好きなので、ぜひ「多摩の恵」のペールエールを飲んでみたいなぁ♪
1887年(明治20)にビール醸造事業に着手。翌年「日本麦酒」の商標で麦酒を発売した石川酒造。その時使用していたビール釜です。時期尚早であったため、ビール醸造はわずかな期間しか行われませんでした。この「麦酒釜の館」はそんな歴史の証として、最初の醸造から奇しくも100年目にあたる1987年(昭和62)に塩野谷博山氏に依頼し建立しました。
引用:石川酒造サイト > 土蔵散歩・見学
福生のビール小屋
入り口から少し見学させていただいた「向蔵ビール工房」ではちょうど多摩の恵「ヘレス」を造っていました。そんなできたてクラフトビールとイタリアン料理を楽しめるのが「福生のビール小屋」です。サイトのメニューを見ると、「福生産ソーセージの盛り合わせ」や「自家製フェットチーネ 海老とウニのトマトクリームソース」など美味しそうなものがずらり♪ こちらのお店は次回ぜひトライしたいです。
また、八重桜が咲く頃は、福生のビール小屋から桜を愛でながら地ビールをいただくお客様でいっぱいになるそうですよ。
▶ 福生のビール小屋(石川酒造サイト)
▶ 酒蔵レストラン 福生のビール小屋(ホットペッパー)
試飲タイム
さぁ!お待ちかねの試飲タイムです♪ 本日は3種類用意していただきました。小さなプラスチック製のカップでいただきます。
【本日のラインナップ】
1. 多満の八重梅 梅酒(リキュール)
2. 東京の森多満自慢 東京の森(リキュール)
3. 多満自慢 ひやおろし
多満の八重梅 梅酒(リキュール)
みなさんは、日本酒ベースの梅酒を飲んだことはありますか?こちらは、その日本酒ベースの梅酒で、日本酒を仕込んだタンクに梅の実と砂糖を入れて漬け込んだものです。濃厚で梅の酸味がしっかり前に出ていて香りも良く甘くなく、とても美味しかったです♪ ロックかソーダ割りで飲んでみたい!
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この梅酒を飲んだ瞬間、10年位前に初めて日本酒ベースの梅酒を飲んだ時のことを思い出しました。友人と行った稲城のお店で栃木県・小林酒造さんの鳳凰美田の梅酒を飲み、濃厚で梅の美味しさが凝縮された味にとても感激したこと。その年の夏に「小山商店」で購入し、お風呂上がりに涼みがてら氷をたくさん入れてロックで飲み、口当たりが良くて2杯も飲んでしまいそのままコテンと寝てしまった!なんてこと(^^) 「美味しかった記憶」というものは、ちっとも色あせないものなのですねぇ♪
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ぜひ、この梅酒を購入したいところですがこの日の予算は1本まで。ひやおろしは在庫が少ないそうなのでそちらを優先し、こちらは次回♪
東京の森多満自慢 東京の森(リキュール)
日本酒を仕込んだタンクに、奥多摩の杉の木で作ったチップをポトン♪ と入れて漬け込んだリキュール。この造り方の場合、税法上「リキュール」扱いになるのだそうです。飲んだ感じは普通に日本酒なんですけどね。個人的には樽の香りは苦手なので、一瞬「大丈夫かな?」と心配しましたが、なぜか全然嫌じゃない香り。切れ味がいいからかな?初めての味わいを楽しむことができました。夏の暑い日にロックでスッキリ飲むのも美味しそうです☆
多満自慢 ひやおろし
春にできた新酒を火入れした後、夏の間、蔵で寝かせた熟成酒の「ひやおろし」。2017年9月4日に発売されたばかり!個人的には生酒や新酒のようなフレッシュな日本酒が好きなので、ひやおろしを飲む機会は少ないです。でも、
と期待を込めていただくと、濃厚な旨味と華やかさ、パッションフルーツのような香りがし、美味しくていい意味でビックリしました☆ 私の大好きな「原酒」だからかもしれません(笑)アルコール度数は18度だそうです。このまま飲んでも美味しかったですし、ぬる燗にしたらどう変化するのかも試してみたくなり、こちらを購入することにしました。
案内していただいた方のオススメのきのこホイル蒸しや、茄子の煮浸しなどを作って一緒に合わせてみたいと思います。いい出会いをしました☆
▶ 多満自慢 ひやおろし 720ml ¥1,350(税込)(公式ONLINE SHOP)
▶ 東京の地酒 多満自慢 ひやおろし純米原酒 1800ML(美酒の泉 ジャパニーズSAKE)
酒蔵見学の予約方法
- 希望日の前日までに電話で予約(042-553-0100)
- 1日3回実施(1回目 10:30~。2回目 14:00~。3回目 16:00~)
- 実施人数は1名~。参加人数に関わらず1名から平等に機会をいただるのはとてもありがたいです。他の参加者と一緒なのは全然問題ありませんものね。
詳細は、石川酒造サイト > 土蔵散歩・見学:見学のご案内 をご参照くださいね。
売店「酒世羅(さけせら)」
敷地内、夫婦欅の近くに「酒世羅(さけせら)」という売店があります。石川酒造の日本酒「多満自慢」やクラフトビール「多摩の恵」シリーズ、「TOKYO BLUES」シリーズ、酒器、日本酒で作ったスイーツ、グッズなどを直売しています。
観光地でのぞくお土産屋さんと違い、目的を持って来た酒蔵の売店はとっても魅力的なんですよね~☆ 冷蔵庫にはいろんな種類の日本酒とビールがずらり並んでいて、どれにしようかと嬉しい悲鳴ですし、徳利やお猪口などもあったりして、見ているだけでも楽しい♪ いつまでもいられそうです(^^)
とっておき情報
新酒ができたら敷地限定しぼりたて「かめぐち」を販売するそうですよ~!
以前は杜氏さんしか飲めなかった貴重なしぼりたてのかめぐちです☆ 量り売りしてその場で瓶詰めしていただけるんですって!!生酒、新酒好きにはたまらない1本ですよね~♪ 私は絶対に買いに行きます!今から楽しみです(^^)/
さいごに
前編では、約1時間の蔵見学(試飲含む)をお伝えしました♪
美しい蔵を見ながら、酒造りの過程を聞きとても楽しい蔵見学でした。案内してくださった社長秘書さんは仕事ができる女性☆ といった方で、お話し上手・説明上手なカッコイイ方でした。海外の方もご案内するそうです。すごいなぁ☆
日本酒を飲むとその蔵の思いが伝わってきます。熱い思いを持った蔵元さんの日本酒は、とても濃厚で元気が良くてフレッシュで次から次へとビシビシ!!お話ししてみて物腰の柔らかな蔵元さんが造った日本酒は、食中酒にぴったりでおかずの味をじゃましない、毎日料理にそっと寄り添うような飽きのこない優しい味だったりするんですよね。
石川酒造さんの蔵元さんとは直接お話しできませんでしたが、案内してくださった方のお話しと、試飲した時の濃厚さやインパクトなどからすると、とても元気で豪快に笑い、楽しんで日本酒を造られているような気がします(^^)
と考えながら、お土産に買った「ひやおろし」をいただくと、味わいが更に豊かに感じられるのも楽しいものですね。
次回、【蔵元訪問】東京都福生市 石川酒造(株) は「酒飲みのテーマパーク」だった(後編)では、併設の「雑蔵」さんでいただいた酒蔵直送の地ビールと日本酒と美味しいお蕎麦、購入したお土産についてお伝えしたいと思います。
では、酔い夜を(*^^*)
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